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研修医日記/医療法人社団 札幌皮膚病理診断科
Sapporo Dermatopathology Institute
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福本隆也/Ackerman Academy of Dermatopathology研修記
今回、2006年4月24-5月19日の4週間、ニューヨークのマンハッタンにあるAckerman Academy of Dermatopathology(以下Academyと略します)で研修することができました。

1998年の札幌皮膚病理セミナーでAckerman Drの講義を聞いてから、皮膚病理に興味をもって勉強してきましたが、英語が苦手なこともあり短期間とはいえAcademyへ皮膚病理研修へ行くことになるとは思ってもいませんでした。昨年12月の札幌皮膚病理セミナーで、現在のAcademyのDirectorであるGeoffrey J Gottlieb Drがこられて、素晴らしい講演やコンサルテーションをされたことと、その暖かい人柄に触れたこと、札幌で経験を積んでアメリカではどんな風にやっているんだろうと思えるようになったこと、そして4月はじめに研究所を退職して嘱託となり、次の勤務までの時間ができたことから今回の研修を実現することができました。

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Dr. Gottliebと。
Dr. Gottliebには2005年の札幌皮膚病理セミナーでご講演いただきました。



AcademyにはこれまでもたくさんのDrが日本から研修に行かれています。それでも、あまり興味を持っていても、情報がないという方もおられると思いますので、Academyの様子を少しご紹介したいと思います。僕も研修にあたって、最近Academyで研修した日本の先生から様子を伺うことができたので大変助かりました。



今回はメールで問い合わせたところJ-1 VISAを取るように言われJ-1を取得していきましたが、4週間と短期でもありVISAなしでもよかったかもしれません。1か月の滞在なので、Academyの近くの自炊できるApartment hotelに宿をとりました。Academyからも、頼むとHotels and accommodationsというリストをくれますが、結局ネットで自分で探しました。徒歩約5分という近いところです。家賃は高く、一泊100ドルちょっとします。研修費用は打ち合わせをせずに行ってしまい、行ってから話をしたのですが思ったより安かったです。


Ackerman Academyは、マンハッタンのミッドタウンにあり、エンパイアステートビルからも歩いて7-8分という場所にあります。大きなビルの2フロアを占めています。1つがlaboで、ここでは、特殊染色や蛍光抗体直接法、免疫組織化学染色を含む標本作製を行なっています。私達が普通いるのは10階で、たくさんの人が働いたり研修したりしています。リーディングルームはちょっとした講義もできるくらい広く、ここには27ヘッドのディスカッション顕微鏡があります。

EMPIRE.jpg
マンハッタンの夜景


fellow は、1年間のdermatopathology fellowshipをとっているDrが5人おられました。6月で研修をおわり、秋にdermatopathologyの資格試験を受けるそうです。僕が行ったのは4月末だったこともあり、皆、診断のレベルは高かったです。ほかにも、fellowshipが終わってからも時々きているDrもおられました。僕のような外国からの短期間のvisiting fellowも何人も来ておられ、それぞれ、1週間とか、2週間、1か月とかの期間で来られていました。期間の設定は自由にできるようです。また、SUNY Downstate Medical Center(State University of New York Health Science Center at Brooklyn)のpathologyのfellowもrotationで2週間ずつ、何人か見学に来られていました。

fellowの部屋には、机がひとり1つあって顕微鏡が各1台備えつけられており、visiting fellowも空いているところを使うことができます。PCは、ネットにつながった共用のものが2台おいてあり、自由に使えます。
医員は、5、6人おられて、彼らが通常の検体の診断をつけています。あと、事務のかたがたくさんおられます。DirectorのGottlieb Drは、通常の検体もみていますが、ほとんどはコンサルテーションケースの診断をしています。コンサルテーションケースは、世界中から送られてきていますが、やはりアメリカの病理医、皮膚病理医からのものが多いようです。日本からのものもありました。Ackerman Drは、週に2日ほどAcademyに来られます。お元気そうで、エネルギッシュに仕事をこなされていました。



1週間のスケジュール

月曜日と木曜日

Ackerman Drは、週2日、月曜日と木曜日(金曜日のこともあります)の午前中に来られます。
朝は7時!から、fellowのプロジェクトの打ち合わせや、Quiz、本の打ち合わせ、そして、講義のスライド作りなどをします。あいまに、Gottlieb Drがやってきて難解な症例の相談をします。
Quizは、Derm101.com というAckerman先生が主宰されているwebsite (http://www.derm101.com/) に掲載されるもので、2週間に一度5題ずつ追加されています。Ackerman先生はこのQuizに大変力をいれているようで、画像選びや構図などかなり丁寧に作成されていました。もうじき500題を越えるそうです。写真撮影はfellowがしています。Ackerman Drからは、ここでは論理的な思考を身につけること、そしてresistすることを学んで帰るようにと言われました。


昼休みは日によって違いますが、大体1時間半から2時間位あります。だいたい、近くへ食べに出たり、宿へ帰ったりしていました。fellowは忙しいと、ファーストフードをかじりながら、下読みしたりしています。


昼からは、Gottlieb先生のところに、医員のDrたちが、診断の難しいものを持ちよってきます。melanocytic lesionが多いですが、炎症性皮膚疾患なども結構ありました。例えば、Clark’s nevus (dysplastic nevus)でよいかthin melanomaの可能性はないかなどをディスカッションするのですが、最初は英語が早くて、全然ついて行けませんでした。また、ときどき、”これはfellowのために”と言って、診断が明らかでも珍しい症例を見せてくれます。

そのあとは、コンサルテーションケースを見ます。大体4時半くらいまで。

火曜と金曜日

8:30くらいから。朝の時間は日によって違っており、前の日の午後にGottlieb Drが明日は何時からやるということを言います。

火曜日と金曜日は1日中コンサルテーションケースをGottlieb Drが読んでいきます。melanocytic lesionが多くて本当に難解です。リンパ腫や炎症、付属器腫瘍、軟部腫瘍などもあります。shaveした検体が多く、Gottlieb Drはものすごく早くスライドを動かすので、なかなかついていけません。ややこしいのはあしたもう一回見ようと言って先送りにします。医員が持ってきた症例を見るときなどは、結局、結論が聞きとれなかったりすることも多いのですが、コンサルテーションケースは診断と所見をテープに吹き込むので、これをできるだけ聞きとるようにしていました。
pitcher役のfellowが標本を順に手際よくGottlieb Drに渡していきます。pitcherは前もって自分で診断をつけておかなければいけません。コンサルテーションケースは多い日は30例以上やるのでpitcher役は大変です。
施設によっては染色のよくない標本もあり、ブロックが送られてきていれば、リカットします。Academyで作成したHE標本はさすがにきれいで大変見やすかったです。一度見て、必要であれば深切りや特殊染色をします。免疫組織化学染色も行なうことがあります。
Gottlieb Drは、難解なものは、Ackerman Drの意見も聞いて最終的な報告書を作っていました。melanocytic lesionに関してはさすがに、アメリカは症例数が日本よりもずっと多いようです。

水曜日

水曜の午前中は、fellowはブルックリンにある、SUNY Downstate Medical Centerの皮膚科へ研修に行きます。これには、ついて行っても行かなくてもよいのですが、Academyにある標本をみることにして、今回は参加しませんでした。最後の週は行こうと思ったのですが、fellowから今週はあんまり勉強にならないから薦めないと言われ、道順も地下鉄の乗り換えなど結構複雑なこともあり結局行きませんでした。ちょっともったいなかったかもしれません。
この時間は、他のvisiting fellowと、study boxをみたり、コンサルテーションケースをみたりしていました。study boxは、inflammatoryとかadnexal tumorとかmelanocyticとかテーマが決めてあって100枚のセットにしてあるもので、簡単なものから難しいもの、珍しいものまでいろいろ入れてあり、とても興味深いものです。いままで見たことのあまりない疾患も結構含まれています。たとえば、CylindromaやMyofibroma、Dermatomyofibroma、Desmoplastic melanomaといった日本ではあまり見なかったものも数例ずつ入っていました。
コンサルテーションケースの下見は、最初は余裕がなくてできなかったのですが、途中からは夕方の時間も使ってできるだけ下見をするようにしました。やはり、自分で診断を考えておかないとぼーっと見ているだけになりかねません。結構、臨床情報の乏しいものが多く、臨床写真のついているものはまれでした。


水曜の午後は、unknown casesというのがあります。10例とか20例の標本が昼休みに配られて、fellowはそれぞれ診断、鑑別診断を書いて、あとでGottlieb Drがディスカッション顕微鏡で解説します。そのほか、もう少し手軽に、discussion顕微鏡でGottlieb Dr.が標本を見せて、診断を言うように順にあてるというのを1回に50例くらいを何度かやりました。それなりに難しいのが混ぜてあって勉強になります。
土日
休みです。


 だいたいこんなスケジュールなので、基本的にはコンサルテーションケースをみていることが多かったです。医員によるfellowへの講義とか、Soft tissue symposiumの症例をみんなでみるなどといったこともありました。最後の週にGottlieb DrとAckerman Drはイタリアへ講演に行かれたので、3日間、他のfellowと一緒に医員のDrのレギュラーケースの下読みをさせていただきました。医員のDrに意見を聞かれてdiscussionするのですが、これがなかなか楽しかったです。普通のケースを沢山見るのはやはり大切です。


最終日は、Gottlieb先生にfellowといっしょに美味しい昼食をご馳走していただき、楽しいひとときを過ごすことができました。


1か月の研修を終わってみて、dermatopathologyという分野を志すDrがたくさんいて、切磋琢磨して勉強していること、教育システムもしっかりしていて、なおかつ高いレベルにあることは、大変うらやましくおもいました。dermatopathologyを志す海外のDrと触れあえたことは大変刺激になりました。
アメリカには他にもdermatopathology fellowshipのプログラムを持っているところがたくさんありますが、日本でこのように多数の皮膚の検体の標本を見て診断能力をつけるというトレーニングのできるところは、札幌皮膚病理研究所のほかにはあまりないのではないかと思います。一方、2年間札幌で勉強してきた自分のレベルも確認することができました。


もうひとつは、やはり英語の壁は厚かったです。直接しゃべるときは、聞き返したり書いてもらったりすることができますが、それでもわからなかったり、言いたいこともうまく言葉になりません。普通のスピードでされる会話はちょっとしかわかりません。もともと、英語は得意ではないのですが、もうちょっとなんとかならんものかと思ってしまいます。1か月ではとても英語が上達というわけには行きませんでした。とはいっても、fellowのDrにも、医員のDrにも親切にして頂き、なんとか楽しく過ごすことができました。


最後に、マンハッタンはとても素敵なところです。毎朝、32丁目通りを歩いて行き、Academyのそばにでる屋台でコーヒーを買い、時にはベーグルも買っていきました。コーヒーは薄いのですが、クリームチーズをはさんだベーグルは美味しいです。帰り道ではレキシントン通りからは、クライスラービルの尖頭にあかりが灯ってとてもきれいですし、エンパイアステートビルの上の方の色とりどりの照明もみえ歩いているだけでも楽しくなります。近くのスーパーで珍しい食材と安いビールを買って自炊したり、デリでおかずを買って帰っていました。また、32丁目通りには、安くておいしい韓国料理の店がたくさんあり、Academyの近くにはインド料理、タイ料理、チベット料理などさまざまなよいレストランもあります。メトロポリタン美術館、自然史博物館や近代美術館、セントラルパーク、ブロードウエイなども近く、見どころもいっぱいです。地下鉄も随分きれいになって安心して乗ることができます(深夜は危ないと思います)。


研修は短期間でも受け入れてくれるようですので、短期でも長期でも、観光を兼ねてでもよいですので皮膚病理を志す方は、是非Academyを訪問されると良いと思います。海外の様子を見ることはいろいろな意味で刺激になります。
Academyではあまり基本的なことは説明しておらず、実践をとおして学ぶといった感じだったので、基本的なことから勉強したいかたは個人的には札幌皮膚病理研究所での研修をお薦めします。札幌で何ヶ月か(できれば3か月から半年くらい)研修して皮膚病理の基礎を身につけてからAcademyへ行くと、より多くのものを持って帰れると思います。
英語の苦手なかたは、その間に英会話の勉強もしておくとよいでしょう。特にmelanomaを含めmelanocytic lesionについては、いわゆるacral nevusやALMを除いて、アメリカの方が症例が多く、バリエーションも多いのでアメリカで勉強するのはよいことではないかと思います。僕も1か月で、たくさんの色素細胞性病変をみましたが、まだまだ消化できていないというのが本当のところです。是非また機会を作って研修に行きたいと思っています。
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福本隆也/Diagnostic Pathology of Soft Tissue Tumors参加記
福本医師は2005年11月14日ー18日の五日間、ケンブリッジのRoyal Sonesta Hotelで開催されたHarvard Medical School Continuing Medical Education CourseのDiagnostic Pathology of Soft Tissue Tumorsに参加しました。

今回、2005年11月14-18日の5日間、ケンブリッジのRoyal Sonesta Hotelで行なわれた、Harvard Medical School Continuing Medical Education CourseのDiagnostic Pathology of Soft Tissue Tumorsに参加してきました。本来は、木村先生が参加するはずだったのですが、スケジュールがあわず、私に参加する機会を与えていただきました。皮膚病理の検体には表在性の軟部腫瘍がたくさんあり、かねがね勉強したいと思っていましたので大変貴重な経験をすることができました。日本からの参加は、私のほかにはありませんでしたが、大変素晴らしいコースで、また、参加されるかたもおられると思いますので、内容を少しご紹介したいと思います。ケンブリッジまでは、札幌からは成田経由で、一度デトロイトで乗り換えてボストンに入りました。成田からデトロイトまでは11時間半、デトロイトからボストンへは約2時間です。


講師は、Brigham and Women's HospitalのDr. Christopher D.M. FletcherとUniversity of Chicago HospitalのDr. Thomas Krauszで、定員は50名でした。僕の隣のDrはシンガポールの方でしたが、そのほか、デンマーク、エジプト、ブラジル、カナダ、韓国、英国、スイス、イスラエル、ポーランド、オランダ、サウジアラビア、スペイン、マレーシア、ギリシャ、ベルギー、オーストリアなど、世界中から参加者がありました。皮膚科医のDrも一人参加されていました。朝から夜まであるので、このホテルに泊まっている人が多かったようです。


5日間のスケジュールはだいたい同じです。毎朝は7:30頃からスタートで、会場にはコーヒー(普通のとカフェイン抜きのと)、ジュースなどの飲みものとドーナツやパン(全部甘いやつです)などの軽い朝食が用意してあります。初日は、大きなハンドアウトのバインダーをもらいます。この時点ではバインダーはスカスカです。そのあと、Dr. Fletcherが自らプレパラートのセットを参加者二人に1つずつ配ってくれました。苦労して集めて作った貴重なものなので絶対持って帰らないように言われて、受けとりのサインをします。スライドは全部で300枚以上あり、約100枚ずつ3箱になっており、コースの進展に従って、順に渡してくれます。顕微鏡は参加者一人につき一台用意されています。面白かったのは、Dr. Fletcherが電話帳がいる人はいるか?と聞いて回っていたことで、何のこっちゃと思ってたら、顕微鏡の下にいれて高さを調整するのに使っていました。大柄な人が結構いて、たくさん電話帳を用意していたようです。2つ入れている人もありました。逆に背の低い人には、椅子を交換していました。長時間顕微鏡をみるので、これはなかなかうれしい配慮です。今回は残念ながら標本は持ってきませんでしたが、後ろにはディスカッション顕微鏡も置いてあり、あいた時間に持ってきた標本をみてもらっているDrもおられました。


1日は、3つのセッションで構成されています。ハンドアウトには、各スライドの簡単な臨床情報が記載されており、午前中いっぱいかけて、その日のトピックスに沿ったケース(それぞれの日に43~67ケースある)を各人で検鏡して所見をとり、鑑別診断を考え、診断をつけます。内容ですが、1日目が、PseudotumoursとFibrous tumours、2日目がSo-called fibrohistiocytic tumoursとTumours of adipose tissue、3日目がSmooth and skeletal muscle tumoursとNeural tumours、4日目がVascular tumoursとTumours of uncertain differentiation、そして最終日がOsteocartilaginous tumours of soft tissue、Synovial tumours、Mesothelial tumoursという構成でした。このコースに参加するために、Dr. Fletcherの編集したDiagnostic pathology of tumorsのsoft tissue tumorに関連するところをある程度読んでいったのですが(このとき聞いた話では、このテキストは2006年に改訂版を予定しているそうです)、やはり実際に検鏡するとこれまで、見たことのない病変が沢山でてきてなかなか難しかったというのが正直なところです。だいたいその日のテーマに沿った症例が集めてあるのですが、ときどきちがったカテゴリーの腫瘍も混ぜてあります。症例は、典型例からバリエーション、稀な例まで幅広くあり、ほとんどの種類の軟部腫瘍をカバーするように配慮されていると感じました。テキストを持ってきていない人のために会場の中央に、Enzinger and WeissとAFIPのテキストが置いてあり、参加者は自由に参照できるようにしてあります。あと、本屋さんも出張販売に来ていました。


午後1時から6時まで、15分の休憩をはさんで、Dr. Fletcherが解説をしていきます。2日目のTumours of adipose tissueと最終日のみDr. Klauszが解説しました。解説はDr. Fletcherが顕微鏡を投影して、標本の画像を見せながら、参加者に順に所見と診断を言ってもらい、それにDr. Fletcherがコメントを加えながら解説していくといった形ですすめられました。大体、1日に1回は発言する順番があたって、所見や診断を英語で言わなくてはなりません。といっても、あまりつっこんでは聞かれないので簡単に所見と考えられる診断を述べるだけでOKでした。Drによっては、かなり細かい点まで述べる人もいますが、僕を含め英語の達者でない参加者はとつとつと所見をのべるといった感じでした。ときどき診断に必要な免疫染色標本をみせてくれるのですが、それはほんの少しで、多くはHEで診断して確認に免疫染色を使うか、いくつかに鑑別診断を絞ってから、免疫染色を参考にするという感じでした。いくつかのトピックスについてはスライドやパワーポイントを使ったミニレクチャーがあり、標本が用意できなかった重要な疾患についてもスライドが用意されていました。最後に、診断名の入った紙とその日の疾患に関連したハンドアウトや論文のコピーを配ってくれて講義はおしまいになります。質問はいつでもOKです。Dr. FletcherもDr. Klauszも大変フレンドリーな方で、僕のつたない英語での質問にも、丁寧に答えてくださいました。

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左:Fletcher 先生、中央:福本、右:シカゴ大教授のKrauz先生


午後6時から10時までは、参加者が復習する時間です(最終日のみは7時まで)。夕食を食べてから、テキストやその日の講義の内容と合わせて標本を見直します。
そのほか、初日の昼食と3日目の夕食が付いています。汗をかきながら、会話しましたが、なかなか英語でしゃべるのは、、、


コースの印象ですが、典型例やバリエーションなども含め300例以上の軟部腫瘍(あるいは腫瘍類似病変)の標本を実際に顕微鏡でみられるのが大変すばらしいと思いました。テキストの小さな写真をみるのとは違い、全体像やいろいろな部分をみることができます。それだけにどこが診断に重要な部分かを探さないといけません。Dr. FletcherとDr. Klauszの解説は明快でわかりやすく、HE標本を基本に診断に至るポイントや手がかり、疾患概念、あたらしい話題や考えかたなどたくさんのことを学ぶことができました(といっても、その時はわかったように思っても実際にもどって標本をみるとなかなかわからないのですが)。そして、これまで、自分の頭の中の鑑別診断リストに入っていなかった腫瘍をたくさん知ることができたのは大きな収穫でした。


2006年のコースは、11/13-11/17にあります。
Harvard Medical SchoolのDepartment of Continuing Educationのホームページ
http://cme.med.harvard.edu/index.asp
に載っていますので、興味のあるかたはまたチェックしてみてください。
福本隆也/第42回アメリカ皮膚病理学会参加記
今年のASDP(American Society of Dermatopathology)のAnnual meetingは10月の20日から23日までシアトルで行なわれ、今年も幸い参加することができました。学会のアウトラインについては前回の参加記を参考にしていただければと思います。


2005/10/20
今回は11時半からレジストレーション開始と前回の16時より早くなっていました。ポスターを貼ろうと思うと、自分の番号のところに既に誰かのポスターが貼られています。うろうろしていると、ポスターの数が多かったためか、前半と後半の2つに別れたことがわかって、調べると、僕のは後半でした。13時から、Behind the H+Eというコースがあって、4人の演者によるいろいろな皮膚疾患の遺伝子的な背景についての講演です。最初は、色素細胞性母斑の話で、多くの露光部のメラノーマや後天性の色素細胞性母斑では、BRAFの変異がみられる。それでは、日光にあたっていない、先天性色素性母斑ではどうかというと、BRAFの変異がなく、NRASの変異が高頻度にみられる。さらに、いわゆるcongenital patternといわれる分布を示している母斑で、病歴で生下時からはあったとは確認できなかったものを調べると、BRAFの変異が高頻度にあり、NRASの変異があったのは1/4程度だったとのことでした。演者は、congenital patternを示す母斑も日光曝露が関与した後天性の母斑ではないかと言っていました。次は、境界型皮膚炎(interface dermatitis)についての講演で、主にサイトカインに焦点をあてていました。その次はメラノーマの発症におけるMicrosatellite instability(MSI)の果たす役割について、最後に肉腫における遺伝子発現のプロファイルについて、でしたが、いずれも内容が結構複雑で、英語ということもあって、ついて行くのが難しかったです。

ASDPseattle1022.jpg
ポスターもきれいに出来上がった


15時からは、Self Assessment Aへ。Self Assessmentは一回に100人ずつで、顕微鏡の前に座って順番に標本をまわして、自分で診断をつけていきます。全部で50題あって、1枚を2分で次の人に回していきます。去年とくらべると結構、わかるものも多く、結論は出せなくても何が診断上の問題なのかがある程度わかって、去年のように全然わからないというものは少なくなりました。といっても難しかったですが。夕食は松原先生と中華へ。アメリカの食事は甘い味つけが多いように思いますが、ここはスープを除いては大丈夫でした。

18:30からは、Duelです。これはfellowやresidentが1時間ちょっとのあいだに12題の発表をして、最終日に賞が与えられるのですが、fellowやresidentとはいえ、みんな堂堂とした発表でした。内容も興味深いものが多いのですが、眠気もあってあんまり覚えていません。

20時からはLessons from Lumps: Cases you cannot forgot(Despite Trying)という講演。5人の有名な先生が診断の難しかった腫瘍性病変について講演しました。これは面白かったです。LeBoit先生はDesmoplastic melanomaの表面をshaveされた検体の話で、濃染核とケロイド様の線維化のある病変は要注意という講演、Cerroni先生はAtypical spitz tumorの、Elder先生はRecurrent nevusの、Smoller先生は、最初の生検がびまん性の好中球主体の炎症で肉芽腫性炎症がなかった非定型性抗酸菌症の、Glusac先生は表皮の肥厚と色素増強をともなったCutaneous leiomyosarcomaの話をされました。どれも診断上の落とし穴について触れたもので興味深く聞くことができました。


2005/10/21
時差のせいか朝早く目がさめてしまいます。学会は朝6時半からです。フロアにおいてある朝食をとって、ポスターを見てまわります。

ASDPseattle1023.jpg
ASDPポスターの前で


8時からShort Course Iを聴講。これは、Neglected topics in Dermatopathologyというタイトルで、熱帯地方の皮膚病理、爪の皮膚病理、色素異常の皮膚病理、組織球症の4つの講演でした。Tropical Dermatopathologyは主にMycobacteriosisについて症例紹介の形の講演でした。爪の話は、爪は見なれないので難しいという話ではじまって、生検のし方、検体の取り扱い、解剖、そして、感染症、炎症性疾患、色素性病変と盛り沢山でした。最後のほうは時間が足りなくなりました。この講演は、UCSFのRuben先生がしたのですが、爪の色素細胞性母斑の症例が、私達が、UCSFのLeBoit 先生にコンサルテーションした症例のようで、ちょっと嬉しくなりました。色素異常の話はLeBoit 先生が総論的に話されました。Histiocytosisの話はGlusac先生が症例を提示して考えていくというスタイルでLangerhans cell histiocytosis, congenital self healing histiocytosis, Juvenile xanthogranuloma, Multicentric reticulohistiocytosis, Reticulohistiocyotma, Xanthoma disseminatum, Benign cephalic histiocytosis, Rosai-Dorfman disease, Leprosy, Epithelioid cell histiocytosisなどを紹介されました。
Box lunch(でかい!) のサンドイッチをもらって、Oral sessionを聞きます。たとえば、NKI/C3はCellular neurothekeomaのマーカーとして知られているが、調べてみるといろいろな腫瘍や正常組織でも発現されるので特異性は低い、とか、Syringomatous adenoma of the nippleとMicrocystic adnexal carcinomaはHE染色では非常に類似しているが、免疫染色では異なったマーカーを発現し、異なった腫瘍である、とか、FXIIIaはどの程度有用なのか、など皮膚の診断病理にとって面白い話がたくさんありました。

14:30からはElson B. helwig Memorial Lectureで、先日電顕皮膚生物学会で札幌にもこられた、Graz大学のLorenzo Cerroni先生のlymphomaの講演を聞きました。
15:30からは最初のPoster defenceセッションです。質問をしようと思っていたポスターのところへ行きましたが、演者は不在。結構、その場にいない先生も多いようです。

夜はPresident's Reception & Banquetがあるのですが、今回はパスしました。食事をしてホテルで休んでから、Slide libraryへ。教育的な症例100例を順に見ていきます。この日は1/3くらい見ました。ポスターもこのとき貼りました。


2005/10/22
朝はやはり6時半からです。夜のEvening Slide Seminarの標本15例を前もってみておきます。今年はASDPのWeb site(http://www.asdp.org/index.html)にEvening Slide Seminar の顕微鏡写真とヴァーチャルスライドが載せられていました。ヴァーチャルスライドは顕微鏡を見ているかのように好きなところを拡大してみることができ、画期的だと思います。

8時から12時までは一昨日のSelf Assessmentの解説。5題ずつ出題したDrが解説していきます。午後は13時半から、Hermann Pinkus Memorial Lecture。UCSFのBastian先生がメラノーマの遺伝子解析の話をされました。メラノーマの遺伝子変異はいくつかのグループに分けられ、紫外線曝露と関係した群と関連しない群ではそのパターンが異なるというような話でした。2時半からはPresidentユs addressで、Kamino先生が、アメリカの皮膚病理の現状と展望のような話をされました。通常の皮膚病理診断の検体は大学から一般のLaboへ移っていっていて、大学の検体が減ってきているのだそうです。皮膚病理の研修は、一定期間laboですることも必要だろうとか、いろいろ話されていました。Kamino先生は再来年の札幌皮膚病理セミナーの講師なので、ご挨拶しておきました。札幌から来たというと、私、来年札幌へいくの! とうれしそうに行っておられました。

15時からは口演2があるのですが、ポスターを見ておきます。今年は、日本からは埼玉医大の先生方のほか、熊本大学と大津市民から演題が出ていました。
16時からPoster defence。ポスターのそばに立っていましたが、簡単な質問やコメントをもらいます。Resnik先生には論文にするようにいわれました。20分くらいで切り上げて、12月の札幌皮膚病理セミナーに来られるGottlieb先生のコンサルテーションセッションへ行きます。テーマはmelanoma or not です。遅刻をお詫びして、顕微鏡につきます。参加者が順番に持ってきた標本を出してGottlieb先生が丁寧に解説していきます。僕も一例見ていただきました。このセッションではオーストラリアのBish先生がいっしょで、木村先生は来てないのかと聞かれ、あれこれお話しました。このセッションだけでなく、知っている先生にはごあいさつしたのですが、Tetsuは来てないのかとか、よろしく言っといてくれとかあちこちで言われました。

18時半からEvening Slide Seminarです。朝から見ておいた標本の解説がありました。
このセッションではビールと簡単なおつまみがついています。シアトルもいくつか地ビールがあって、どれも大変美味しいです。アメリカのビールは大味という印象がありますが、地ビールは美味しいです。ビールを飲むと去年と同様に、途中から猛烈な眠気が襲ってきてかなりの部分寝てしまいました。終了は21時半。気を取り直して、Slide libraryへ。


2005/10/23
学会最終日です。この日は午前中だけです。
朝からSlide libraryへ行ってまだ見ていない標本を順番に見ていきます。せっかくの機会なので頑張ってなんとか全部見ました。のこった時間でShort Course IIIを聞きます。ちなみにShort Course IIは、Vulvar and Genital pathologyでしたが、これは、self assessmentの解説と重なっていて聞けませんでした。最後のコースは脱毛症の皮膚病理で、瘢痕性脱毛症、円形脱毛症、CPC、transverse sectionの落とし穴の4つの話があり、最後の2つを聞くことができました。検体を水平切りにして毛包を評価することは日本ではあまりされていないと思いますが、メリット、デメリットがあるようです。


2回目の学会の印象ですが、皮膚病理組織診断という目的にそった発表、コースやセッションがたくさんあるのがやはり、すばらしいと思いました。遺伝子のような話ももちろん沢山あるのですが、病理標本からいかに診断していくか、いかに診断能力を向上させるか、病理診断上の落とし穴は何か、など診断学としての皮膚病理がメインだと思いました。日本にこの様な学会がないのは残念なことです。
ASDPの第43回のmeetingは2006年はシカゴで10/26~29にあります。来年も可能なら是非、また参加したいと思います。
福本隆也/アメリカ皮膚病理学会参加記4
学会最終日です。この日は午前中だけです。
木村先生が時間の都合でGottlrieb先生のコースを別な時間帯に変更したので、余ったチケットを譲ってもらって、朝7時からGottlieb先生のConsultation sessionへでることができました。
Consultationは各時間帯に2コースあって、受講者8人が講師の先生とディスカッション顕微鏡をみながら講義を聴いたり、自分の症例のコンサルテーションをすることができます。今回は残念ながら自分の症例を持ってこられなかったので、他の人の症例のconsultationを聞いていました。 もちろん質問も自由にできます。
テーマはmelanoma or notなのですが、soft tissue tumorやneuroendocrine tumorをもってきてる人もいました。このsessionは講師の先生といっしょにじかに顕微鏡をのぞけるのでとても勉強になります。
そのあとはSlide libraryへ行ってまだ見ていない標本を順番に見ました。これも日本ではあまりおめにかからない感染症や、じかに標本をみる機会がなくテキストでしかみたことのない病気がたくさんあって、大変ためになりました。
のこった時間でShort Course IIIを聞いて12時で学会は終了しました。
学会の印象ですが、なによりdermatopathologistやdermatopathologyに関心を持ったdermatologistやpathologistがたくさんいることに驚かされましたし、皮膚病理組織診断についての理解や能力の向上という目的にあったコースやセッションがたくさんあるのがすばらしいと思いました。
アメリカでは皮膚病理のトレーニングプログラムをもっている施設も多いようで、トレーニング中のfellowもたくさん参加していました。全体としてアメリカの皮膚病理組織診断のレベルの高さと教育の充実を感じました。
ASDPのmeetingは2005年はシアトルで10/20~23にあります。西海岸のほうがずっと近くて行きやすいですので来年も是非、また参加したいと思いますし、日本からも多くの方が参加されることを願います。
福本隆也/アメリカ皮膚病理学会参加記3
朝はやはり6時半からです。この日は夜にEvening Slide Seminarがあります。
その標本15例を前もってみて診断をつけておかないといけないのでまず検鏡室へ。もちろん、みておかなくてもよいのですが、一度みて考えておいたほうが絶対勉強になります。検鏡室にはその他にSlide Libraryといって、教育的な症例100例が、顕微鏡の横においてあります。これは毎年違うものがおかれます。各顕微鏡の横には標本と簡単な病歴、考えられる診断が5つ書いてある紙がおいてあり、参加者が各自考えられるようにしてあります。
その裏に解答と解説、文献がついていて、それを見て勉強することができます。多くの人が熱心に検鏡していました。
8時から12時までは昨日のSelf Assessmentの解説。5題ずつ出題したDrが解説していきます。日本ではあまり聞いたことのない疾患、病名が結構出てきます。今回から、各症例の顕微鏡写真の画像をCDでハンドアウトに添付したとのアナウンスがあって拍手がおこっていました。やっぱり画像がないと復習できないですからうれしい限りです。
午後は少し時間があったのでボストンの街へ散歩に。もどってきてからは、口演をきいて、ポスターを見学。ポスターは明日にははがされてしまうので、今日のうちにだいたい見ておきたかったからです。ポスターだけでも200枚以上あって、みるだけで大変です。
日本からは埼玉医大の先生方がたくさん演題を出していました。
19時からEvening Slide Seminarです。朝から見ておいた標本の解説がありました。
このセッションではビールと簡単なおつまみがついています。ボストンはSamuel Adamsという有名なビールがあるので、それを2本飲んでポップコーンを食べながら聞いていると途中から猛烈な眠気が襲ってきて終わりのほうは寝てしまいました。もったいない。終了は22時。
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