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研修医日記/医療法人社団 札幌皮膚病理診断科
Sapporo Dermatopathology Institute
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東川晋語/現場百回
「同じ疾患を何度も見るのはとても大切なことだよ。」と良く木村先生は仰いますが、確かに一見同じ病名の皮膚疾患でも起こっている現象は検体毎に様々です。また一見難しそうな病理像に思えても皮膚検体に見えている要素を細かく分析し、論理的に考えていくことで意外と身近な病名に帰着することもあります。木村先生の病理診断が研修生を魅了する理由のひとつはこのような豊富な臨床と病理診断経験に基づいた分析力と論理的思考にあると思います。私が毎朝1時間早起きしてリーディングに参加させていただいている意義もここにあります。

 「鉤引き3年」などと外科の世界ではよく言いますが、私の好きな言葉は犯罪捜査の世界でよく使われる「現場百回」です。犯罪現場に百回通っても毎回新しい発見があると言われるように、色素細胞性母斑ひとつとっても百回見るだけでは足りないと感じます。大学の授業開始に間に合う為に時には毎朝20検体見られない時もしばしばですが、現場百回と言わず皮膚病理現場百万回のつもりでこれからも通ってみたいと思います。
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東川晋語/門前の小僧
こんにちは。北海道大学医学部4年の東川晋語と申します。今年に入って1ヶ月程木村先生の朝のリーディングに参加させて頂いております。北大皮膚科の授業に木村先生が非常勤講師として出講された際、皮膚病理学に興味がある学生を研究所に招待してくれたのがきっかけで現在に至ります。皮膚科は現在勉強中なので偉そうなことは書けませんが、木村先生の御厚意により学生ながら研修日記を付けさせていただくことになりました。

 簡単に自己紹介します。米国West Virginia州立大学理学部化学科にて学士、修士号取得後に某大学歯学部(3年目で医学部編入学の為中退)を経由し、北海道大学医学部に学士編入学しました。歯学部時代に仕込まれた「人間の機能性、審美性を追求する魂」があるので、卒後は形成外科・美容外科を志望しています。臨床現場での問題解決の為には外科病理学と分子生物学は必須と考えますが、現在の医学部のスケジュールを鑑みると後者の追及は難しいので学部時代は病理学を中心に勉強することにしました。

 皮膚病理研究所での研修の目標は「一体何が皮膚の中で起こっているのか?」を一枚の皮膚検体から疾患の枠を超えて理解できるようになることです。しかし学生の実力はたかが知れているので、現実的には「門前の小僧習わぬ経を読む」の如く木村先生のアリガタイ説明を毎日拝聴することで見た標本の所見をもっともらしく説明できるようになりたい、と考えています。できる限り長く通う予定なので末永くよろしくお願いします。
東川晋語/ゆとりある正確な診断
 「いろんな知識をたくさん理解しておくと問題点が少なくなる」とよく木村先生は仰います。普段から特に病理診断を考える上で直接問題にならないような組織の生理学と形態学を理解しておくことで、本当に検討すべき問題点にゆとりを持って集中できる、というものです。
 リーディングの際に病変部付近の炎症性細胞や付属器などの形態学的解説を木村先生は大切にされますが、実はこういう事が非常に重要だったりします。膠原繊維や血管の反応性変化や増生のパターン、染色性の変化などの正常な変化域を理解しておくことで「これはこの疾患として判断していいのか?それとも炎症に対する再生性変化なのか?」などと迷うような微妙な検体を診断する上でこのような知識が必要になります。一見して問題にならないような部分をしっかり理解していることで本当に検討しなければならない組織学的要素が浮き彫りにされます。あとは可能な限り考えられる疾患をリストアップし、鑑別診断となります。このステップが一般病理ではかなりartの側面が強くなりがちですが、木村先生は具体的な組織学的所見を逐一述べて理路整然と鑑別診断にたどりつきます。その大胆にして綿密な思考過程は現場の臨床医が受け取る病理診断書に如実に記載されることとなります。
 病理診断書作成時には木村先生は現場で診察しbiopsyやresectionを施行した臨床医の思考や立場を理解したものになるように心がけています。それは内科医を経て皮膚科医となり、皮膚病理のエキスパートとなった木村先生であるからこそ可能な技であると思います。臨床医の所見と矛盾しない病理診断ができるのも現場での豊富な治療経験があればこそであるし、臨床現場での苦悩と苦労を知るからこそ現場が渇望している病理情報を提供できるのだ、と感じる今日この頃です。
 今週の「心に残る木村先生のひとこと」
「臨床を見て病理を考え、病理を見て臨床を考える」
東川晋語/Common diseasesをたくさん見よう!
「良性疾患をしっかり分類して見るのは大切なことだよ。」と木村先生はよくおっしゃ います。
色素細胞性母斑のような良性疾患を適切に分類して特徴的な所見を整理することにより、悪性疾患がより良く理解できるのだそうです。
 皮膚病理研究所に通い始めてから2ヶ月になりましたが、最近になってその意味が少しはわかるようになってきたと思います。まだ通い始めのころは「何故ホクロひとつをblue nevusやらミーシャータイプやらにわざわざ分類するのだろう?」と疑問に思ったものでしたが、確かに顕微鏡下に見える切片から明らかな所見を常日頃しっかり取ることで、「この症例はこういう点で特徴的である」「この疾患にはこれらの付属所見が多く見られる」などと具体的に考えることが可能になります。また俗に言われる「絵合わせ診断」が難しく、診断名を付けるのに苦労するような検体であっても、このような細かな所見をしっかりと取る習慣が付いていると少なくともある特定の疾患であることを裏付けることができます。診断が難しくてもこのような診断名をきちんと付ける努力をすることはとても大切なことで、その為にも生理学や組織学が非常に重要になる、ということを木村先生は常日頃おっしゃっていますが、それが納得できる今日この頃です。
今週の「心に残る木村先生の一言」
 「Common diseasesをしっかり診断して治療できるようになること」
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