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研修医日記/医療法人社団 札幌皮膚病理診断科
Sapporo Dermatopathology Institute
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福本隆也/Diagnostic Pathology of Soft Tissue Tumors参加記
福本医師は2005年11月14日ー18日の五日間、ケンブリッジのRoyal Sonesta Hotelで開催されたHarvard Medical School Continuing Medical Education CourseのDiagnostic Pathology of Soft Tissue Tumorsに参加しました。

今回、2005年11月14-18日の5日間、ケンブリッジのRoyal Sonesta Hotelで行なわれた、Harvard Medical School Continuing Medical Education CourseのDiagnostic Pathology of Soft Tissue Tumorsに参加してきました。本来は、木村先生が参加するはずだったのですが、スケジュールがあわず、私に参加する機会を与えていただきました。皮膚病理の検体には表在性の軟部腫瘍がたくさんあり、かねがね勉強したいと思っていましたので大変貴重な経験をすることができました。日本からの参加は、私のほかにはありませんでしたが、大変素晴らしいコースで、また、参加されるかたもおられると思いますので、内容を少しご紹介したいと思います。ケンブリッジまでは、札幌からは成田経由で、一度デトロイトで乗り換えてボストンに入りました。成田からデトロイトまでは11時間半、デトロイトからボストンへは約2時間です。


講師は、Brigham and Women's HospitalのDr. Christopher D.M. FletcherとUniversity of Chicago HospitalのDr. Thomas Krauszで、定員は50名でした。僕の隣のDrはシンガポールの方でしたが、そのほか、デンマーク、エジプト、ブラジル、カナダ、韓国、英国、スイス、イスラエル、ポーランド、オランダ、サウジアラビア、スペイン、マレーシア、ギリシャ、ベルギー、オーストリアなど、世界中から参加者がありました。皮膚科医のDrも一人参加されていました。朝から夜まであるので、このホテルに泊まっている人が多かったようです。


5日間のスケジュールはだいたい同じです。毎朝は7:30頃からスタートで、会場にはコーヒー(普通のとカフェイン抜きのと)、ジュースなどの飲みものとドーナツやパン(全部甘いやつです)などの軽い朝食が用意してあります。初日は、大きなハンドアウトのバインダーをもらいます。この時点ではバインダーはスカスカです。そのあと、Dr. Fletcherが自らプレパラートのセットを参加者二人に1つずつ配ってくれました。苦労して集めて作った貴重なものなので絶対持って帰らないように言われて、受けとりのサインをします。スライドは全部で300枚以上あり、約100枚ずつ3箱になっており、コースの進展に従って、順に渡してくれます。顕微鏡は参加者一人につき一台用意されています。面白かったのは、Dr. Fletcherが電話帳がいる人はいるか?と聞いて回っていたことで、何のこっちゃと思ってたら、顕微鏡の下にいれて高さを調整するのに使っていました。大柄な人が結構いて、たくさん電話帳を用意していたようです。2つ入れている人もありました。逆に背の低い人には、椅子を交換していました。長時間顕微鏡をみるので、これはなかなかうれしい配慮です。今回は残念ながら標本は持ってきませんでしたが、後ろにはディスカッション顕微鏡も置いてあり、あいた時間に持ってきた標本をみてもらっているDrもおられました。


1日は、3つのセッションで構成されています。ハンドアウトには、各スライドの簡単な臨床情報が記載されており、午前中いっぱいかけて、その日のトピックスに沿ったケース(それぞれの日に43~67ケースある)を各人で検鏡して所見をとり、鑑別診断を考え、診断をつけます。内容ですが、1日目が、PseudotumoursとFibrous tumours、2日目がSo-called fibrohistiocytic tumoursとTumours of adipose tissue、3日目がSmooth and skeletal muscle tumoursとNeural tumours、4日目がVascular tumoursとTumours of uncertain differentiation、そして最終日がOsteocartilaginous tumours of soft tissue、Synovial tumours、Mesothelial tumoursという構成でした。このコースに参加するために、Dr. Fletcherの編集したDiagnostic pathology of tumorsのsoft tissue tumorに関連するところをある程度読んでいったのですが(このとき聞いた話では、このテキストは2006年に改訂版を予定しているそうです)、やはり実際に検鏡するとこれまで、見たことのない病変が沢山でてきてなかなか難しかったというのが正直なところです。だいたいその日のテーマに沿った症例が集めてあるのですが、ときどきちがったカテゴリーの腫瘍も混ぜてあります。症例は、典型例からバリエーション、稀な例まで幅広くあり、ほとんどの種類の軟部腫瘍をカバーするように配慮されていると感じました。テキストを持ってきていない人のために会場の中央に、Enzinger and WeissとAFIPのテキストが置いてあり、参加者は自由に参照できるようにしてあります。あと、本屋さんも出張販売に来ていました。


午後1時から6時まで、15分の休憩をはさんで、Dr. Fletcherが解説をしていきます。2日目のTumours of adipose tissueと最終日のみDr. Klauszが解説しました。解説はDr. Fletcherが顕微鏡を投影して、標本の画像を見せながら、参加者に順に所見と診断を言ってもらい、それにDr. Fletcherがコメントを加えながら解説していくといった形ですすめられました。大体、1日に1回は発言する順番があたって、所見や診断を英語で言わなくてはなりません。といっても、あまりつっこんでは聞かれないので簡単に所見と考えられる診断を述べるだけでOKでした。Drによっては、かなり細かい点まで述べる人もいますが、僕を含め英語の達者でない参加者はとつとつと所見をのべるといった感じでした。ときどき診断に必要な免疫染色標本をみせてくれるのですが、それはほんの少しで、多くはHEで診断して確認に免疫染色を使うか、いくつかに鑑別診断を絞ってから、免疫染色を参考にするという感じでした。いくつかのトピックスについてはスライドやパワーポイントを使ったミニレクチャーがあり、標本が用意できなかった重要な疾患についてもスライドが用意されていました。最後に、診断名の入った紙とその日の疾患に関連したハンドアウトや論文のコピーを配ってくれて講義はおしまいになります。質問はいつでもOKです。Dr. FletcherもDr. Klauszも大変フレンドリーな方で、僕のつたない英語での質問にも、丁寧に答えてくださいました。

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左:Fletcher 先生、中央:福本、右:シカゴ大教授のKrauz先生


午後6時から10時までは、参加者が復習する時間です(最終日のみは7時まで)。夕食を食べてから、テキストやその日の講義の内容と合わせて標本を見直します。
そのほか、初日の昼食と3日目の夕食が付いています。汗をかきながら、会話しましたが、なかなか英語でしゃべるのは、、、


コースの印象ですが、典型例やバリエーションなども含め300例以上の軟部腫瘍(あるいは腫瘍類似病変)の標本を実際に顕微鏡でみられるのが大変すばらしいと思いました。テキストの小さな写真をみるのとは違い、全体像やいろいろな部分をみることができます。それだけにどこが診断に重要な部分かを探さないといけません。Dr. FletcherとDr. Klauszの解説は明快でわかりやすく、HE標本を基本に診断に至るポイントや手がかり、疾患概念、あたらしい話題や考えかたなどたくさんのことを学ぶことができました(といっても、その時はわかったように思っても実際にもどって標本をみるとなかなかわからないのですが)。そして、これまで、自分の頭の中の鑑別診断リストに入っていなかった腫瘍をたくさん知ることができたのは大きな収穫でした。


2006年のコースは、11/13-11/17にあります。
Harvard Medical SchoolのDepartment of Continuing Educationのホームページ
http://cme.med.harvard.edu/index.asp
に載っていますので、興味のあるかたはまたチェックしてみてください。
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